第1章

1-1 なぜカナダ留学なのか?

『カナダ留学論』

第1章 カナダ留学について
1-1 なぜカナダ留学なのか?
1-2 カナダという国を知る
1-3 カナダの教育水準と留学事情
1-4 留学エージェントをどう使うか

第2章 カナダ高校留学
2-1 高校留学が必ずしも最適解ではない
2-2 高校留学をいつ判断すべきか
2-3 公立か私立か – 学校選びのポイント
2-4 大学進学を見据えて高校で何をすべきか?

第3章 カナダ大学留学
3-1 カナダの大学を知る
3-2 ライティングスキルという壁
3-3 カレッジからの編入か直接進学か
3-4 コンピューターサイエンス学部に入るためのGPA戦略

第4章 北米での就労
4-1 OECDのデータから見る稼げる国とは?
4-2 テックかファイナンスかメディカルか
4-3 カナダの永住権とアメリカでの就労

第5章 自分に合った留学を考える

| カナダ留学の目的と意義

この記事を見ている方は多少なりともカナダへの留学に興味がある方でしょう。あなたの留学の目的は何ですか?「カナダ 留学」と検索してみると、多文化共生社会で多様な価値観を感じたい、自由な環境で個性を大切にしたい、高い水準の教育を受けたい、などの動機を見つけることができます。そして、例外もありますが多くの方が卒業後には日本に帰ることを前提に考えているようです (これは今でもすごい疑問です)。

それらはいずれも重要な事柄であるともちろん思うのですが、せっかく若い時の貴重な時間と労力、日本よりも高額な学費と生活費、そして何よりそれらを使って人生に関わる大切な決断をする動機が、そのような曖昧で帰国前提の近視眼的な目的でよいのでしょうか?つまり、もっと長期的・論理的に留学を思考してみませんか?ということです。

高校は社会で働くか大学に入るための準備の場所、大学や大学院はその後の就労のための準備の場所です。最終的な就労先をどこにしたいかを考えた上で留学に取り組むべきなのです。極論を言ってしまうと、過程がいくら素晴らしいものでも、貧すれば鈍する、最終的に行き着くところを想定せずに進んでいると迷子になってしまいます。

詳細は別の記事で説明していきますが、留学の環境は厳しくなって来ています。円安による学費・生活費などの費用負担の増加もそうですし、カナダであれば、日本人への直接的な影響はまだ少ないものの、移民政策の転換により留学などの非移民ビザも含めて引き締める方向に向かっています。きちんとその先の先を考えないと、せっかくの留学も無駄になります。最大限の便益を得られるような戦略 (時間と労力と資金の配分) を事前に考えることが肝要なのです。

| なぜアメリカやイギリスではなくカナダなのか?

アメリカは最も稼げる国です。圧倒的な規模の金融市場を持ち世界中から膨大な資本を集積させています。その豊富な資本は必然的に優秀な人材を惹きつけ、その集まった人材は新たな産業を創出してきました。マグニフィセント・セブンに代表されるテック業界は、たった30年で世界有数の巨大産業に成長しています。ここ最近のアメリカドルの信認低下が不安視される局面もありますが、依然として世界最強の基軸通貨としての地位を保っており、アメリカは世界最大の経済圏を持つ国であることは否めません。

イギリスも留学先としては人気がありますが、OECD加盟国の平均年収 (OECD 2024) を比較してみると、アメリカの$82,933に対してイギリスは$69,417で、カナダの$69,433とほぼ変わりません。人口3,000万人以上の国に絞るとアメリカとカナダは1位と2位になります。ヨーロッパは全体として景気はよくなく、ブリグジットしたイギリスも経済的には成功だったとは言えません。ルクセンブルクやスイスでの就労を目指すことは理解できますが業種がかなり限られてきます。

それではなぜアメリカではなくカナダへの留学を薦めるのでしょうか。理由はビザ (主にH-1B) を含めたアメリカでの就労の難しさと不安定さにあります。つまりアメリカでの就労は収入を最大化できる可能性は高いのですが全振りするのは危険だということです。昨今のアメリカでのビザの不確実性の高さや周期的に発生するレイオフを考えると、地理的にも文化的にもアメリカに近く収入も比較的高いカナダが避難先としてもアメリカを補完する国として最適といえるでしょう (アメリカとカナダのビザに関する詳細や見解については別の記事で説明します)。

| 将来のキャリアデザインをたった今から考える

留学から最大限の便益を得られるような戦略を事前に考えることの重要性を前述しましたが、私の提案としては、経済的な自立と資産形成の観点から最終的には北米での就労、そして、仮にアメリカが上手くいかなくてもカナダに拠点を置くことで、キャリアを高い水準で維持して再びアメリカを目指すことができます。もちろん収入のことを考えることがすべてではないですが、これが論理的に考えた一つの結果です。

過去に何人か留学している方やそのご両親を見てきましたが、最後は日本へ帰国することを前提としているのが多いことに驚きました。日本を貶めることは言いたくはないのですが、給与水準がアメリカやカナダよりも低いことは事実としてあります。日本で学歴をつくって就職をすることには異議はありませんが、わざわざ海外まで行って留学をしたのになんともったいない!と思ってしまいます。

留学を検討する際には目先の目的でなく、5年後、10年後の自分の姿を想像してみてください。具体的には、高校卒業後、大学卒業後、自分はどうしたいのか、そして、その先にどのような業界でどの会社で働きたいのか、どのような仕事をしたいのか、などのキャリアデザインです。私の提案が絶対的な答えではありません。自分のやりたいことに秀でている国がアメリカやカナダではないこともあるでしょう。なぜ留学するのか?やその先に何を求めるのかを明確にすることで、より意義のある留学を実現することができるはずです。経済的にも将来の選択肢を広げるという観点では、カナダでの留学と北米での就労は合理的な選択と考えます。

本記事だけでの説明ではまだ抽象的なところも多いかと思います (まだ第1章の1-1なのですみません)。次回以降で、カナダという国のことやその教育水準、留学エージェントについてや高校留学と大学留学の詳細、そして北米での就労について深掘りしていこうと思いますのでご期待ください。

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『カナダ留学論』 – note.com